AGF®ストーリー
地域との共生
それは鈴鹿川の水源の森で始まった
「AGF®ブレンディ®の森」鈴鹿の挑戦
執筆:2023年5月
読了目安:約5分
AGFグループは東西の生産拠点が使用する水源の森の一角を「AGF®ブレンディ®の森」と名付け、地域と協力しながら森の整備に取り組んできました。豊かな自然や清らかな水を育む大切さを体験し、次世代へと継承していく――それが「AGF®ブレンディ®の森」森づくり活動のコンセプトです。多くの社員が参加する活動はまず三重県鈴鹿市で始まりました。
山中に道を切り拓きながらの森林整備活動
モータースポーツの聖地として知られる三重県鈴鹿市は、古くは東西を結ぶ交通の要衝、宿場町として栄えた地域。東は伊勢湾に面し、西の滋賀県境には鈴鹿山脈がそびえ立っています。その鈴鹿山脈から流れ出した水を伊勢湾へと注ぐ一級河川の鈴鹿川です。AGFグループ西日本における生産拠点であるAGF鈴鹿株式会社(以下、AGF鈴鹿)は「ブレンディ®」「ちょっと贅沢な珈琲店®」「マキシム®」「煎」などのコーヒー類の製造にこの鈴鹿川から浸透した地下水を利用しています。
2014年9月、AGF鈴鹿から東海道沿いに鈴鹿川を遡ること約25km、隣接する亀山市の鈴鹿峠近くの山間部に「AGF®ブレンディ®の森」鈴鹿が開設されました。AGFグループとして初めての森づくり活動でしたが、地元自治体や森づくりに関わる認定NPO法人の皆様からの協力を得て、活動は順調なスタートを切りました。
現在森活動を担当しているサステナビリティ推進部の嶋田さんと渡邊さんにお話をうかがいました。
嶋田さん:
「AGF®ブレンディ®の森」鈴鹿は、まさにゼロからのスタート。検討を始めた当初、企業の森活動の誘致に熱心だった三重県の四日市農林森林事務所に相談したところ、格好の場所をご紹介いただきました。「AGF®ブレンディ®の森」は水源の森を整備する環境保全と地域貢献という目的を第一に掲げていますが、それに加えてAGFグループ社員が自然に触れ合いながら水源の森の大切さをあらためて認識する福利厚生やサステナブル教育にも活かしていくことを想定していたようです。三重県からご紹介いただいた森はすぐ近くを鈴鹿川の支流が流れ、活動拠点になる自然の家や馬子唄会館などの施設などもあり、まさに私たちの構想にはうってつけの場所だったのです。
県からは森林整備のエキスパートである「認定NPO法人 森林(もり)の風」を紹介され、AGFグループ社員がその指導の下に森の整備を進めていきました。
「AGF®ブレンディ®の森」活動開始当初、社員は年6回現地を訪れました。整備されていない森は地面まで太陽光が届かず、暗くうっそうとした雰囲気でした。森林の風の方々と共にまず雑木林の急斜面を削って、森の奥まで入って作業をするための道を作り、下草刈りや間伐を行います。さらに敷地内を流れる沢を埋めていた枯れ木や枯れ葉、雑草をきれいに取り除きました。
渡邊さん:
森での作業中はしばしばシカなど山の動物の足跡と遭遇し、ヤマビルの被害に遭うこともあります。あいにくの雨天にあたってしまうと作業のつらさは倍増しました。それでも参加した社員のほとんどは「もう一度参加したい」と言っていました。自分たちの作業を通して森の再生を実感できることが、何よりのモチベーションとなっているようです。活動が進むに連れて、水辺にはサワガニの姿を見ることができるようにもなりました。
50年サイクルを見据えた森林整備というロマン
2023年で9年目を迎える「AGF®ブレンディ®の森」鈴鹿。その間にコロナ禍もありましたが2020年までにのべ2000人を超える社員が森の整備に参加。エリアも当初は2.56haだったものが16.38haまで拡大し、安全に森の中を散策できる歩道も整備され、自然と触れ合いながら動植物の生態系を学べる環境が整いつつあります。
渡邊さん:
活動当初は地域の方々も私たちの取り組みに半信半疑だったかもしれません。しかし目に見えて森の再生が進んでいくと地権者の方々から「AGFグループに任せてよかったね」という声が聞こえてくるようになりました。社員たちが地元のイベントにも積極的に参加して地域に溶け込み、慣れない森の活動にも真面目に取り組んでくれたおかげでAGFグループの〝本気〟が伝わったのかなと感じています。
2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大の状況を考慮し、森の中での作業は「森林の風」の方々に委ねることになりましたが、渡邊さんたちは作業の進捗状況に関してつねに現地との情報共有を図り、秋は地元AGF鈴鹿社員の有志が作業に参加。ようやく2022年に人数を絞って春と秋の2回、AGFグループ社員が活動に参加することができました。
そして2022年末に朗報がもたらされました。林野庁が創設した「森林×脱炭素チャレンジ2022」において、森林整備を通じて脱炭素に貢献する「グリーンパートナー2022」の1企業として「AGF®ブレンディ®の森」鈴鹿が公表されたのです。
渡邊さん:
日本の国土の約7割が森林で、その多くを占める人工林の整備は50年サイクルで考えていくもの。きれいな水と脱炭素社会を目指すために今後も継続的に「AGF®ブレンディ®の森」活動に取り組んでいくことが大切だと思っていますし、地域の皆さまに私たちの会社と商品についてより深く知っていただくきっかけになればと思っています。そのうえで今後は「AGF®ブレンディ®の森」鈴鹿に私たちの手で新しい木を植える活動も始めたい。50年後の森を考えながら、一本一本木を植えていく。そんな夢のある活動にしていきたいですね。
次回は「AGF®ブレンディ®の森」鈴鹿に続いて東日本の生産拠点で2015年にスタートした「AGF®ブレンディ®の森」群馬について、引き続き嶋田さんと渡邊さんにお話をうかがいます。
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※組織名や所属、肩書、業務内容、商品情報等を含むすべての記載内容は、各取材及び執筆時点のものです。