AGF®ストーリー
地域との共生
利根川水系荒砥(あらと)川の源流域を舞台とした
「AGF®ブレンディ®の森」群馬の取り組み
執筆:2023年5月
読了目安:約5分
AGFグループのさまざまな製品づくりに欠かせない水。「AGF®ブレンディ®の森」活動は、AGFグループの製造拠点に近い水源域の森林整備を通して、清らかな水を育む森の恵みを次代に伝えていくことを大きな目的としています。2014年にスタートした「AGF®ブレンディ®の森」鈴鹿に続き、翌年5月には第2弾として「AGF®ブレンディ®の森」群馬の森づくりが始まりました。現在森活動を担当しているサステナビリティ推進部の嶋田さんと渡邊さんにお話をうかがいました。
「関東の水がめ」を支える森づくりへの期待
流域面積日本一の規模を有する利根川は、古来より流域の人々から畏怖と親しみを込めて「坂東太郎(ばんどうたろう)」の異名で呼ばれてきました。現在は膨大な人口を抱える首都圏の市民生活と経済活動を支える水源として重要な役割を果たしています。
群馬県太田市にあるAGF関東株式会社は、その利根川水系の水を利用して生産活動を行ってきました。その水源となるのは利根川水系荒砥(あらと)川です。「AGF®ブレンディ®の森」群馬は、その荒砥川源流域である前橋市北部、赤城山南麓の一角に位置しています。
「AGF®ブレンディ®の森」群馬の始まりに際して、サステナビリティ推進部の嶋田さんは「前年の鈴鹿での経験を参考にしつつも、群馬ならではの地域特性や関係者の森林に対する考え方の違いをしっかり踏まえながら活動を進めることに気を配っていた。」と話します。
「AGF®ブレンディ®の森」鈴鹿がある三重県のように海に面した県と比べて、内陸部の群馬県は自治体が県内の森林や内水面が抱える課題により深くアプローチしています。山林の地権者や林業の担い手の高齢化、その結果として手入れがされていない荒れた森林による水源保全への懸念や土砂災害のリスク増大などがそうした課題です。かねてから群馬県は森林所有者や森林組合と森林整備へのサポートを考える企業と熱心に取り組んできました。AGFグループが森林保全活動への意志を県に打診したところ、すぐに荒砥川源流域を管轄する「赤城南麓森林組合」と認定NPO法人「ぐんま緑のインタープリター協会」の皆さんを紹介され、「AGF®ブレンディ®の森」群馬が第一歩を踏み出しました。
嶋田さん:
前年にスタートした「AGF®ブレンディ®の森」鈴鹿は山深い環境で雰囲気は抜群なのですが、活動の際は急斜面を登らなければならず少々ハードな環境でした。一方、「AGF®ブレンディ®の森」群馬はなだらかな斜面に広がる森で、比較的私たちが活動しやすい場所です。利根川水系が「関東の水がめ」と呼ばれるだけあって、森の中を流れる荒砥川支流の水量も豊富です。お子さんを含めた自然体験イベントなどの開催にもうってつけの環境だと思います。
「AGF®ブレンディ®の森」群馬には新たな森づくりのための植樹エリアがあります。そこには花粉症の原因となる花粉飛散の少ない品種のスギの幼木を植えて、イノシシやシカなどによる獣害対策としてネットを張り、継続的に笹や雑草などの下草刈りを行ってきました。最初に植えた数十センチだったスギの木は、今や10メートル近くまで育っています。
「AGF®ブレンディ®の森」群馬の活動が始まって6年目となる2020年秋には、この植樹エリアの土地所有者である杉下建樹さんが群馬県造林協会主催の「群馬県造林品評会」において「最優秀賞」、そして農林水産省主催の「農林水産祭」で「農林水産大臣賞」を受賞されるといううれしいニュースもありました。
お客さまと社員のサステナブル教育の場としての森
2017年後半から新たに拡大したエリアにおいても、水源周辺の整備に着手。2018年には地元の流通企業とともに「AGF®ブレンディ®の森」自然体験&AGF関東工場見学ツアーを開催し、多くのお客さまをお招きすることができました。このイベントにご参加いただいた方からは「自然と共生して生きることの大切さをあらためて感じた」「森へ行く機会があまりないので楽しかったです」「初めての体験に親子ともども楽しめました」など多くの反響が寄せられました。翌2019年には森の散策や自然体験イベント向けに森の現在地マップも完成し、スポット看板なども設置。環境教育のフィールドとしての整備も着々と進んでいます。
渡邊さん:
2020年のコロナ禍によって活動が停滞した期間もありましたが、サポートしていただいている赤城南麓森林組合の方々と密に連絡を取り、私たちもつねに森の状態を把握してきました。コロナ禍では荒廃を防ぐ意味で生産会社の皆さんが秋季に活動を実施していました。そして、2022年から全社企画と生産会社企画に分かれて森づくり活動を再開しました。
「AGF®ブレンディ®の森」は、社員にとっても、貴重なサステナブル教育の場でもあります。現在、AGFグループ社員の「ブレンディ®の森』活動参加率は約7割。近い将来に9割以上の参加を実現したいと思っています。
「AGF®ブレンディ®の森」へのアクセスは決して楽ではないため、最初は活動に参加するのを躊躇する社員も少なくありませんでした。ところが参加者にアンケートを取ると、「AGF®ブレンディ®の森」鈴鹿・群馬ともに、多くの社員がやりがいや大きな満足感を感じているようでした。豊かな自然を満喫し、日頃の運動不足解消しながら、環境保全に貢献できた達成感は、現地に足を運び、実際に体験してみなければわからないことのようです。すでに十数回参加しているという社員が何人もいます。
AGFグループはこれからも地域と共に水源の森の整備を継続していき、環境保全、地域貢献、そしてグループ社員の教育の場として森の恵みを活用していきます。
「AGF®ブレンディ®の森」以外に、京都府にある世界文化遺産「上賀茂神社」でも森を守り、水を育む活動を行っています。次回はそのお話をお届けします。
-
※組織名や所属、肩書、業務内容、商品情報等を含むすべての記載内容は、各取材及び執筆時点のものです。