「わがしばなし」は「珈琲♡和菓子プロジェクト」の一環として、
日本の伝統文化の革新者とコラボレーションし、
和菓子の可能性を拡げる様々な挑戦を行う
「AGF®『煎』WAGASHI-INNOVATION(ワガシイノベーション)」の第一弾です。
日本の伝統文化の革新者・松本幸四郎さんの襲名狂言である『勧進帳』を、
4つの和菓子で美しく表現。
和菓子に合うコーヒー、AGF®「煎」と、4つの和菓子がセットとなり、
まったく新しい「わがしばなし」が誕生いたしました。
兄・源頼朝に、
謀反の疑いをかけられ、
追われる身となった弟・源義経。
義経と、武蔵坊弁慶をはじめとする
家来たちは山伏に扮し、
京の都から、東北へ逃げようとしていました。
ところが、とある関所を通過しようとしたとき、
関所を守る、富樫左衛門に、
「もしや義経一行ではないか?」と疑われてしまいます。
ここでばれてしまっては、先に進めないどころか、
その場で捕らえられてしまいます。
そこで弁慶が機転を利かせて、
「我々は、焼失した東大寺を再建するために、
寄付(=勧進)を募る旅をしている者です。」
と嘘をつきました。
なかなか信じない富樫は、弁慶に命じました。
「それならば、証拠の『勧進帳』を読み上げてみろ。」
もちろん、勧進帳など持っていない弁慶は、
たまたま持っていた巻物を開くと、
あたかも本物の勧進帳のように、
朗々と暗唱してみせました。
勧進帳を巡る富樫の質問にもスラスラと答える弁慶に、
すっかり富樫は騙されてしまいます。
義経一行が無事関所を通り抜けようとしたその途端…
「そこの荷物持ちが怪しい!義経に似ている!」と、
荷物持ちに化けていた義経は、
富樫の部下に気づかれてしまいます。
そこで弁慶は、持っていた杖で、
主君義経を激しく叩きながらとっさに言いました。
「そんなに疑うのなら、
この荷物持ちを殺してみせましょう!」
それは、主君義経に対して、
絶対にはたらいてはいけない無礼でした。
主君を打たねばならない弁慶の苦しみを察した富樫は、
「それほどまでに言うのなら、ここを通そうではないか…」と、
関所を通すのでした。
少し離れた山の中、
義経や他の家来は弁慶の機転を褒めましたが、
弁慶は、主君に無礼をはたらいたことを、
涙ながらにわびるのでした。
するとそこに、富樫が追ってきました。
慌てる一行でしたが、
富樫は「先程の失礼を詫びにきた」と、
酒を持ってきたのです。
そこで喜んだ弁慶は、大杯を重ね、
「延年の舞」を舞って見せます。
富樫と部下が、弁慶の舞に見とれている間に、
義経と家来たちは先立ち、その様子を見届けた弁慶は、
富樫と神仏に深く感謝したのち、後を追って先を急ぐのでした。
< おわり >
場所や人物など、「存在するもの」を形にしてみたり、
心象や情緒、音といった「形ではないもの」を形にしてみたり…。
また、それらを形ではなく言葉で見せてくれたり…。
和菓子における『勧進帳』の表現方法がこれだけ豊かで、
自由な発想が生まれたことに感激しています。
優しい「煎」の香りとともに職人技を眺め、
上品な甘さの和菓子としっかりとした「煎」のコクを味わい、
”ゆるやかな短時間”をお過ごしになってはいかがでしょうか。
十代目 松本幸四郎
オリジナル和菓子の開発にあたっては、
全国和菓子協会様のご協力のもと全国の和菓子店より創作和菓子を募り、
56店舗の応募がありました。
書類審査により選ばれた32店舗の作品から、
十代目松本幸四郎さんによる実食審査を経て、
グランプリ・準グランプリ・優秀賞が決まりました。
受賞作はそれぞれの製作者の所属する和菓子店にて和菓子に合うコーヒーAGF®「煎」とセットにし「わがしばなし」として発売されます。
企画協力
青木 誠治さん
選択すると、和菓子に込められたストーリーがご覧になれます。
歌舞伎と言えば定式幕と役者の隈取。客席のお客様をお芝居の世界に導く定式幕と隈取を合わせて表現してみました。
台は定式幕の三色の羊羹を流し合せ、面は味甚羹で隈取と定式幕を描き、新春に三代揃った襲名興行を祝う歌舞伎座を表現してみました。
安宅の関所で、義経と気付かれないようじっと身をひそめる義経を表現しました。
煉切餡と漉し餡できんとんを作り、煉切製の笠、焼ソボロに羊羹をつけて金剛杖にし、黒雪平のしに羊羹を張り担ぐ荷物としました。
白紙の勧進帳を読み上げる弁慶を表現しました。
白色煉切餡で中餡を包み、黒羊羹と白羊羹で弁慶の衣裳に見立て、雪平を平らに伸ばし勧進帳と致しました。
義経一行と承知した上で関所を通し、わざわざ詫びといいつつ旅の無事を祈ってくれていると解釈した弁慶が、手向けてくれた酒を飲み舞う「延年の舞」。弁慶の心の中には感謝の気持ちが溢れていたと思われるので、温かな色合いに仕上げてみました。
井上 正和さん
選択すると、和菓子に込められたストーリーがご覧になれます。
義経一行と気付いた富樫とにらみ合う弁慶の緊迫したシーンを羊羹と浮島で作りました。
表面に富樫と弁慶のかぶりもので二人の対比を表現し、二人の間に稲妻を配して緊迫感を表してみました。
主君を杖で打ったことを詫びる弁慶と無事関所を通ることが出来たことを感謝する義経。二人の絆が深まったことを、弁慶の涙を淡い水色に、義経の温かい心を桃色に、二つをしっかりと組み合せ、桃山の杖を添えました。
安宅関で朗々と読み上げた白紙の勧進帳を栗蒸し羊羹に、白の煉切を張り合せて表現しました。
義経、弁慶一行が命がけで奥州へ向かう旅路をイメージした和菓子です。黒糖錦玉で安宅関での厳しい出来事を、透明の錦玉でまだまだ続く旅路を表現しました。
堀内 誠さん
選択すると、和菓子に込められたストーリーがご覧になれます。
東大寺再建の勧進の途中と説明する弁慶。ならばと、それを読むよう命ずる富樫。
白紙の勧進帳を朗々と読み上げる弁慶の様子です。
関所を通過する折り、関所の役人から疑われた際に弁慶が義経を金剛杖で打ち据えるが、主君に対してとった行動はまさに「断腸の思い」であったろうと思われます。その弁慶の気持ちを表現してみました。
富樫が弁慶に酒を振る舞い、その返礼として弁慶が舞いをみせる様子。
陸奥の国へ先発した義経一行の後を弁慶が飛び六方で追いかけていく様子。