私たちが日常で口にしているコーヒーは、「木」から生まれています。
コーヒーの木の和名は、カタカナで「コーヒーノキ」。アカネ科に属する常緑樹で、一年中葉をつけます。産地では収穫しやすいように2メートル以内で栽培することが多い一方、野生下では10メートルほどの大きさに育つものも。
一般的には、普段の生活で目にする機会が少ないため、「コーヒーの木」と聞いてもピンとこない方も多いでしょう。ですが、花・実・葉の特徴や生育条件、育て方、産地などを知ると、より深くコーヒーを楽しめるようになります。
私たちが日常で口にしているコーヒーは、「木」から生まれています。
コーヒーの木の和名は、カタカナで「コーヒーノキ」。アカネ科に属する常緑樹で、一年中葉をつけます。産地では収穫しやすいように2メートル以内で栽培することが多い一方、野生下では10メートルほどの大きさに育つものも。
一般的には、普段の生活で目にする機会が少ないため、「コーヒーの木」と聞いてもピンとこない方も多いでしょう。ですが、花・実・葉の特徴や生育条件、育て方、産地などを知ると、より深くコーヒーを楽しめるようになります。
コーヒー豆は木の実ですから、花が咲いた後に実ります。
開花のきっかけは、乾季が続いたあとに降るまとまった雨。コーヒー業界では、乾季のあとに降る最初のまとまった雨を「ブロッサムシャワー」と呼びます。この雨が、開花の始まりを告げるサインです。
コーヒーの花は、コーヒー豆からはちょっと想像できないような、白くて小さな愛らしい花です。5つの花弁があり、ジャスミンのような良い香りがします。作家・林芙美子は「花のいのちはみじかくて〜」と書きましたが、コーヒーの花はまさにその通り。
ブラジルの農園では、開花の時期になるとコーヒーの花が一斉に開花し、農園がまるで雪景色のように真っ白に染められます。とても幻想的な光景ですが、その美しさを楽しめるのはわずかな時間。2~3日後には、まるで雪が溶けるように散ってしまうそうです。
ブラジルに住んでいる人でさえ、どこかの農園で「コーヒーの花が咲いた」と聞けば、すぐに飛行機で飛んでいかないと見逃してしまうといいます。コーヒーの花は、それくらい見るのが難しい花なのです。
わずか数日で花が散ると聞くと、成長スピードの速い植物だという印象を持ちがちです。しかし、花が咲いてから実になるまでには、かなりの時間がかかります。
種まき、またはごく小さな苗の植え付けから最初の開花までにかかる時間は、早くても1年半ほど。場合によっては2年以上もかかります。
開花期間はほぼ2日間。見るのが難しいいわば幻の花
「コーヒー豆」は名前に「豆」とついていますが、植物学的には大豆や小豆のような豆類ではありません。コーヒーの木に咲いた花が受粉し、赤く熟した実の中にできる種子が、私たちが言うコーヒー豆です。
コーヒーの花が散ると、その後に緑色の小さな実がなります。その実は大きくなるにつれ黄色くなり、さらに熟すと赤く変化。完熟すると真紅色になります。この完熟したコーヒーの実がさくらんぼに似ていることから、<コーヒーチェリー>とも呼びます。
収穫方法は産地によって異なります。一粒ずつ完熟したものだけを手作業で収穫する産地もあれば、大型農園では自動収穫機を使うのも一般的です。
収穫した実の中を見てみると、一つの実の中にコーヒーの種が2つ、向かい合わせに入っています。これは「平豆(フラットビーン)」と呼ばれる形です。また、非常に低い確率で3つの種が入っていることもあります。
一方で、成長過程の影響などにより、種が1つだけしか入っていないことも。この1つしか入っていない種は「丸豆(ピーベリー)」と呼ばれるものです。平豆とは大きさが異なるため焙煎時間が変わることもあり、焙煎前に区別されます。
丸豆は平豆と比べるとできる確率が低く、珍しい豆です。その希少性に加え、平豆とは異なる味わいが楽しめることもあり、高級豆として扱われることもあります。もし興味があれば、一度丸豆のコーヒーを探してみてはいかがでしょうか。一般的なコーヒーとは異なる風味を味わえます。
赤く熟すとさくらんぼに似ていることから、コーヒーチェリーと呼ばれます
コーヒーの葉はとても光沢があり、美しいのが特徴です。観葉植物を探してお店に行き、見た目に惹かれて手に取った植物が、実はコーヒーの木だったという方もいるでしょう。
ホコリを積もらせず適切な環境で育てられれば冬でも色褪せにくいことから、一年を通して美しい葉を楽しめます。
この葉の美しさは、コーヒーの木が観葉植物として人気がある理由の一つです。
明るい黄緑色から成長とともに濃い緑色へと変化していく様子を観察するのも楽しみの一つ。また、栽培環境によって葉の色が変わることもあります。
葉の状態は、木の健康を示すサインです。葉を注意深く観察することで、木の調子がいいかどうかを見極めることも可能です。
たとえば、小さなクリーム色の斑点が見られる場合は、サビ病の可能性も。また、葉の裏側にクモの巣状の糸や小さな虫、白っぽい斑点が見られる場合は、ハダニが発生していることも考えられます。栽培する場合は状況に応じて適切に対応していくことが大切です。
コーヒーの木は育てるのが非常に難しい植物です。以下の4つの条件を満たした環境でないと、うまく育ってくれません。
コーヒーの木の生育に必要な降雨量は年間1800mm〜2500mm。特別多くも少なくもない降雨量ですが、重要なのはその時期。成長期に雨が多く降り、収穫期には乾燥している、つまり雨季と乾季がある環境が必要です。
コーヒーは日光を好む植物であるにもかかわらず、日当たりが強すぎると元気がなくなってしまいます。そのためコーヒーの産地では、コーヒーの木のそばに少し背の高い木を植えて、日差しを和らげているそう。コーヒー木のために日陰を作ってくれる、この背の高い木のことはシェイドツリーと呼ばれています。
ブラジルやアフリカで育てられていることから、灼熱の中で育つイメージがあるかもしれませんが、実はコーヒーの木の生育に適しているのは、年平均20℃ほどの地域。夏の避暑地のような過ごしやすい温度であることが求められるのです。
土質は肥沃で水はけが良いことが重要。かつ少し酸性の土壌の方が、コーヒーの木の生育には良いようです。
コーヒーの木は日差しが強すぎても育ちません
上に挙げた、降雨量・日当たり・温度・土質という4つの条件を満たす地域とは、どこでしょうか。それは、地球の赤道直下から、南北の回帰線(太陽が最も北または南になる時の緯線)までのエリアとなります。緯度で言うと、北緯25度から南緯25度の間となります(下の世界地図の、赤い帯になっているエリアです)。ここがまさにコーヒーの木の生育に適したエリアで、<コーヒーベルト>と呼びます。

世界地図で見ると、コーヒーベルトに位置する国々は、かなり暑い土地という印象が強いですが、そのような土地においても、山や高地では平均温度はぐっと下がります。
また、山の高いところでは昼間と夜間の温度差が大きくなり、コーヒーの木が温度変化から身を守るためにぎゅっと身を引き締めることで、コーヒー豆も堅くなり、味わい深いコーヒーにつながるとされています。

コーヒーの木は、葉がつやつやしていて美しく、はっきりとした葉脈も楽しめます。そのため、観葉植物として育てるのも人気です。
育て方は極端に難しいわけではありませんが、適切な温度管理や水やりが必要。
観葉植物を育てるのが初めてという方は、ある程度育ったものを購入するとよいでしょう。一方で、種から蒔いて育てることも可能です。
プラスチックポットに直接植えるか、種床で発芽させてからプラスチックポットに植えましょう。特に5~7月頃の気温が安定する時期が植え付けに適しているとされます。
なお、種を蒔いてから発芽するまでには2か月近く、またはそれ以上かかることがあり、忘れたころに発芽することも珍しくありません。
芽が出たら窓辺などの明るい場所で育てましょう。苗が30cmほどになるまでには半年から1年、環境によってはそれ以上かかります。この間に適切に肥料を与え、しっかり根を張らせることが大切です。
水やりは頻繁に行うのではなく、鉢の表面の土が乾いたタイミングでたっぷり行うのがポイント。
成長がゆっくりだからといってたまにしか確認しないと、うっかり水切れを起こして枯れてしまうこともあるので注意が必要です。
肥料が必要なタイミングは、主に春から秋にかけてです。
また、根詰まりを起こすと成長スピードが落ちてしまうので、定期的に植え替えをして鉢を大きくしていきましょう。
育苗中は、サビ病やハダニのほか、カイガラムシなどの被害に遭うことがあるので、定期的に葉の状態を確認することが大切です。
順調に育てば、種から育てた場合は1年半ほどで開花します。ただ、開花までに2年半程度、またはそれ以上かかるケースもあるので、長い目で見て育てましょう。
種から育てるか、ある程度成長した苗木を購入するかによって、花を楽しめるようになるまでにかかる時間は大きく変わります。
花はほんの2日ほどで散り、その後に実をつけます。完熟豆になるまでにはここから8か月以上かかるので、その間も様子を観察しながら育てていきましょう。
コーヒーの木は、私たちが普段何気なく飲んでいる一杯のコーヒーの原点ともいえる存在です。花が咲き、実が熟し、長い時間をかけて育まれた豆が、やがて豊かな香りと味わいへと変わります。植物としてのコーヒーを知ることで、その一杯がこれまで以上に特別なものに感じられるかもしれません。