コーヒーの豆知識
2026/03/19

コーヒー豆ができるまで|収穫から精選・選別までの流れ

 

コーヒーの収穫

機械と手摘み、二つの収穫方法

コーヒーの育成は、まず種となる種豆を苗床やポットに植えて、発芽させるところから始まります。
発芽した種豆は、6ヶ月ほどで農園に定植。順調に育てば約3年半で人の腰くらいの高さまで生育し、成木となります。成木になったコーヒーの木は、やがて白い花を咲かせ、その後に緑色の実を付けます。これがコーヒーの実です。

実は数ヶ月かけて熟成し、赤く色づいたら収穫のタイミング。熟した実は、その外見から<コーヒーチェリー>とも呼ばれます。

成木となったコーヒーの木は、その後、人の背ほどに大きく育地、それに合わせて収穫量も増加。約6年~10年の間が収穫のピークとなります。ピークを過ぎると、収穫量は徐々に減っていくのが一般的です。

コーヒーの実を収穫する際には、大きく<機械摘み>と<手摘み>の2つの方法があります。

豆を手摘みする場合、赤く完熟した実のみをとっていきます。

豆を手摘みする場合、赤く完熟した実のみをとっていきます。

機械摘み

コーヒーを収穫するための専用の機械で、効率良く摘み取る方法です。

この機械は、ガソリンスタンドにある洗車機を縦長にしたような形状で、人の背ほどあるコーヒーの木をすっぽり覆うほどの大きさ。

内部では、洗車機と同様に、金属製の細い棒が無数についたブラシのような装置が回転し、コーヒーの枝をしごくことで実を収穫します。ただ、この機械は平坦な土地でしか使用できないという難点も。

手摘み

この収穫方法は、文字通り、人の手一つひとつ摘み取っていく方法です。機械摘みよりも丁寧に収穫することができます。

有名な産地の一つであるコロンビアでは、コーヒー農園の多くが勾配のきつい山中にあることから、収穫に機械を使うことはできず、手摘みが中心です。

降り注ぐ日差しのもと、山岳地帯の急な斜面での収穫作業は非常に過酷ですが、完熟した豆だけを一つひとつ、手間をかけて丁寧に収穫するコロンビア産のコーヒーは、数あるコーヒー豆の中でも多くの愛好者がいます。

一方で、広大なブラジルの農園で手摘みする際は、未熟成の緑色の豆も一緒に収穫することが多いそう。これは、ブラジルの農園は広大なため、一つひとつ成熟した豆を選びながら収穫していては作業が終わらないから。

コーヒー豆の収穫方法にも、それぞれのお国柄が伺えるのは面白いですね。

 

コーヒーの精選

コーヒーの精選(せいせん)とは?

私たちが一般的にコーヒー豆と呼んでいるのは、コーヒーの実(コーヒーチェリー)の中の、種の部分です。

収穫したコーヒーチェリーから、果肉や外皮などを取り除き、コーヒー豆(生豆)だけを取り出す作業を、コーヒーの精選処理と言います。

精選処理には、大きく分けて2種類の方法があります。一つは<自然乾燥法>、もう一つは<水洗処理法>です。

天日で乾燥させる自然乾燥法

自然乾燥法は、水洗処理法に比べシンプルで簡単な精選方法です。収獲したコーヒーチェリー(生豆)を地面に広げ、太陽の光で乾燥させます。

大部分の水分が蒸発したら、巨大なドラム型洗濯機のような乾燥機に入れ、熱風によって仕上げます。
コーヒーチェリーが十分に乾燥したら、脱穀機にかけ、果肉や外皮などを取り除き、生豆が取り出されます。

自然乾燥法で精選を行う代表的な国がブラジル、インドネシア、エチオピア、ベトナムなど。自然乾燥処理の場合、作業工程が単純で、設備投資も少ないので、低コストで生産できるというメリットがありますが、同時にデメリットもあります。

乾燥時に天気が良好だといい品質のコーヒー豆になるのですが、天気が悪いと一部が発酵したり、黒く変色してしまったりすることがあるのです。また、土と混ざって土味が豆についてしまうというリスクも否めません。

カフェや喫茶店でナチュラルやナチュラル製法などの表記があるコーヒー豆はこの自然乾燥法で作られたコーヒー豆です。

自然乾燥法

自然乾燥法

水で洗い流す水洗処理法

水洗処理法では、まず、収穫したコーヒーチェリーを専用の機械に通し、皮を剥きます。機械から出てきた豆は、周りにぬるぬるした甘い果肉がついた状態です。

これを水が張られたプールに入れて一晩置くと、酵素の働きで果肉が分解され、豆から綺麗に果肉がはがれるようになります。この際、水の管理を怠ると、雑菌や発酵の際のにおいがついてしまうため、細心の注意が必要です。

一晩水に浸けたコーヒーチェリーを、プールから出してきれいに水洗いすると、果肉は完全に除去されます。

これを乾燥すると、やや固い内果皮(パーチメント)に包まれた状態のコーヒー豆ができあがります。これを<パーチメントコーヒー>と呼ばれます。お米でいうところの玄米の状態と言ったら、分かりやすいでしょうか?パーチメントは、コーヒーを楽しむ際には除去しなければなりませんが、じつはパーチメントがついたままの状態の方が、コーヒー豆が傷みづらく、保存性が高いのです。

ですから、収穫から出荷までの時間が長い場合は、通常この<パーチメントコーヒー>の状態で保管し、輸出される直前に、脱穀作業を行ってパーチメント除去します。

カフェや喫茶店でウォッシュドやウォッシュド製法などの表記があるコーヒー豆はこの水洗処理法で作られたコーヒー豆です。

水洗処理法

水洗処理法

 

コーヒーの選定

良質な豆だけを選んでいきます

自然乾燥法や水洗処理法を経て取り出した生豆(なままめ)は、各国の選別基準で選定され、各コーヒーの規格に合わせてグレーディングされます。

選定基準は大きく、3つ。

  • 生豆の大きさ
  • 生豆の比重
  • 生豆の色

まずは、精選を終えた生豆を、工場でふるいにかけ、同じサイズの生豆に分別します。次に分別した生豆の中から、大きさの割に軽い生豆や、一部が欠けている生豆、さらに小枝や金属片などの異物を除去。しっかりと中身の詰まった重い生豆だけを選別します。

最後のチェック項目が生豆の色。通常、このような処理を経た生豆は、適切に処理されていれば、淡い緑色をしています。ところが、処理中に発酵してしまった生豆は茶色や黒色に変色してしまいます。また、コーヒーチェリーとして収穫する際に、しっかりと完熟していない、青い実の状態で収穫されてしまった実から取り出された生豆は、濃い緑色になります。

生豆の大きさや比重のチェックを通過した生豆を、最後に色彩でチェックし、状態の悪い生豆を取り除くことで、美味しいコーヒーが作られるのです。

最後の生豆の色の選定については、最近では電子選別機という機械が活用されています。この電子選別機は、処理の終わった生豆の色を一粒一粒センサーでチェックし、正常でない色の生豆を自動的に除去します。また、最高級のコーヒーでは、人間が一粒一粒、生豆を目視でチェックするハンドピックという手法が取られることもあります。

こうして選別された生豆は、麻袋に詰められたり、直接コンテナに収められて、生産国から、日本をはじめとする輸入国へと運ばれてくるのです。

輸出を待つ精選された豆

輸出を待つ精選された豆