コーヒー大事典

コーヒー豆の種類や特徴から、収穫・加工・ブレンド・焙煎の方法まで、コーヒー豆がレギュラーコーヒーやインスタントコーヒーなどの製品になるまでの、一連の流れをご紹介します。

コーヒー豆AtoZコーヒーの精選

自然乾燥法

コーヒーの精選(せいせん)とは?

私たちが一般的にコーヒー豆と呼んでいるのは、コーヒーの実(コーヒーチェリー)の中の、種の部分です。収穫したコーヒーチェリーから、果肉や外皮などを取り除き、コーヒー豆(生豆)だけを取り出す作業を、コーヒーの精選処理と言います。精選処理には、大きく分けて2種類の方法があります。一つは<自然乾燥法>、もう一つは<水洗処理法>です。

天日で乾燥させる自然乾燥法

自然乾燥法は、水洗処理法に比べシンプルで簡単な精選方法です。収獲したコーヒーチェリー(生豆)を地面に広げ、太陽の光で乾燥させます。大部分の水分が蒸発したら、巨大なドラム型洗濯機のような乾燥機に入れ、熱風によって仕上げます。コーヒーチェリーが十分に乾燥したら、脱穀機にかけ、果肉や外皮などを取り除き、生豆が取り出されます。

自然乾燥法で精選を行う代表的な国がブラジル、インドネシア、エチオピア、ベトナムなど。自然乾燥処理の場合、作業工程が単純で、設備投資も少ないので、低コストで生産できるというメリットがありますが、同時にデメリットもあります。乾燥時に天気が良好だといい品質のコーヒー豆になるのですが、天気が悪いと一部が発酵したり、黒く変色してしまったりすることがあるのです。また、土と混ざって土味が豆についてしまうというリスクも否めません。

水洗処理法

水で洗い流す水洗処理法

水洗処理法では、まず、収穫したコーヒーチェリーを専用の機械に通し、皮を剥きます。機械から出てきた豆は、周りにぬるぬるした甘い果肉がついた状態です。これを水が張られたプールに入れて一晩置くと、酵素の働きで果肉が分解され、豆から綺麗に果肉がはがれるようになります。この際、水の管理を怠ると、雑菌や発酵の際のにおいがついてしまうため、細心の注意が必要です。

一晩水に浸けたコーヒーチェリーを、プールから出してきれいに水洗いすると、果肉は完全に除去されます。これを乾燥すると、やや固い内果皮(パーチメント)に包まれた状態のコーヒー豆ができあがります。これを<パーチメントコーヒー>と呼ばれます。お米でいうところの玄米の状態と言ったら、分かりやすいでしょうか?パーチメントは、コーヒーを楽しむ際には除去しなければなりませんが、じつはパーチメントがついたままの状態の方が、コーヒー豆が傷みづらく、保存性が高いのです。ですから、収穫から出荷までの時間が長い場合は、通常この<パーチメントコーヒー>の状態で保管し、輸出される直前に、脱穀作業を行ってパーチメント除去します。