ベトナムにコーヒーが持ち込まれたのはフランス植民地時代。
生乳が手に入りにくい時代背景から、保存性の高いコンデンスミルクが加えられ、濃厚で甘い味わいが誕生しました。もともとは富裕層や外国人向けの嗜好品でしたが、やがて街角の屋台や家庭にも広まり、ベトナムの生活に欠かせない存在となります。
コーヒー大事典
ベトナムコーヒーの魅力と楽しみ方──本場の味と淹れ方&アレンジレシピを自宅で
甘く濃厚な風味と、ロブスタ種特有の力強い苦味が特徴のベトナムコーヒー。
ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国で、年間約200万トンを出荷し、世界全体の約18%を占めています(1位はブラジルで約340万トン、シェア30%以上)。そんなコーヒー大国で育まれた一杯は、歴史や文化を感じさせる深みと、豊富なアレンジの楽しさが魅力です。

ベトナムコーヒー:フランス文化とコーヒーの融合
ロブスタ種が支える濃厚な味わい
ベトナムの主力はロブスタ種。
カフェイン含有量が高く、苦味と香ばしさが際立ち、暑い気候や低地でも栽培しやすい品種です。国内生産の大半を占め、コンデンスミルクとの相性は抜群。氷を加えれば、暑い気候にぴったりのカフェ・スア・ダーとして楽しめます。
自宅で楽しむベトナムコーヒーの淹れ方
ベトナム式抽出にはフィン(phin)が欠かせません。
ステンレスやアルミ製の小さなドリッパーで、外ぶた・内ぶた・本体がセットになっています。粉を入れ、お湯を静かに落とし、“ポタポタ”と落ちるのを待つ時間も醍醐味のひとつ。
カップは耐熱グラスや陶器製でOK。アイスで飲む場合は、グラスの底にコンデンスミルクを先に入れておくと、抽出後に混ざりやすくなります。
- 器具を温める
カップとフィンに熱湯をさっと通し、温度低下を防ぐ。 - 粉をセット
中細挽きの粉を大さじ2〜3杯入れ、平らにならす。 - 内ぶたを軽く押さえる
強く押しすぎると落ちが止まるので“軽く”。 - 蒸らし(30秒)
90℃前後のお湯を少量注ぎ、粉全体を湿らせて30秒待つ。 - 本抽出(3〜5分)
縁からゆっくり注ぎ、ポタポタ落ちる速度を保つ。速すぎれば内ぶたを締め、遅ければ緩める。 - 仕上げ
コンデンスミルクと混ぜ、アイスなら氷を加えて完成。
- お湯は沸騰直後を少し冷ます:苦味の出過ぎ防止。
- 抽出時間で味を調整:3分=軽やか、5分=濃厚。
- 挽き目を微調整:速すぎ→細かく、遅すぎ→粗く。
- ミルク量で印象を変える:デザート寄りなら多め、食後は控えめ。
ベトナムコーヒーの3大アレンジレシピ
ハノイ発祥。卵黄・コンデンスミルク・砂糖を泡立て、カスタードのようなふわふわの泡を作り、温かいコーヒーにのせます。ほろ苦さと濃厚な甘さが絶妙で、特別なカフェタイムにぴったり。新鮮な卵としっかりした泡立てが美味しさのポイント。
プレーンヨーグルトの酸味と濃いコーヒーの苦味が出会う、爽やかな一杯。ヨーグルトにコンデンスミルクとコーヒーを混ぜるだけで完成します。暑い日や朝食におすすめ。フルーツやナッツを加えてデザート風にも。
温めたココナッツミルクをコーヒーに加えるだけの簡単アレンジ。甘さはコンデンスミルクで調整し、シナモンやナツメグで香りをプラスすれば、南国感あふれる味わいに。アイスにすればトロピカルドリンクのような楽しみ方ができます。
まとめ
ベトナムコーヒーは、世界第2位の生産量を誇る国が生んだ、甘さと苦味の絶妙なバランスが魅力の飲み物です。
基本の淹れ方をマスターすれば、自宅でも本場の味を再現でき、さらにエッグ・ヨーグルト・ココナッツといったアレンジで幅広く楽しめます。今日の気分に合わせて、あなただけのベトナムコーヒーを作ってみてください。
世界のコーヒー生産量は年間約1,100万トン(2023年)です。生産量が多い順に第1位ブラジル(約340万トン)、第2位ベトナム(約196万トン)となっています。
気候や土壌、育てる人の手仕事を思い浮かべるだけで、いつもの一杯は少し特別に。生産国を知ることは、味わいを深める近道です。
より詳しい世界のコーヒーの生産量については、こちらの記事を確認してみてくださいね。










