コーヒー大事典

世界のコーヒーの生産量

コーヒーは世界中で愛されている飲み物の一つ。では、コーヒーの世界の生産量はどのくらいで、どんな国が多く生産しているのでしょうか。

ここでは、世界のコーヒー生産量や国別のコーヒー消費量、一人当たりのコーヒー消費量、日本のコーヒー豆輸入量などについて詳しく解説します。

世界のコーヒー豆生産量はどれくらい?

現在、コーヒー豆は世界60カ国以上で生産されています。

国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization、FAO)が2025年1月30日に発表した資料によると、2023年のコーヒー豆生産量は全世界で11,064,205トン。

2022年の生産量は10,782,334トンで、2023年は前年度に比べて281,871トン増加しました。

国別のランキング

コーヒー豆の生産量を国別のランキングでみていくと、以下のようになります。

順位国名生産量(トン)世界計構成比
1ブラジル3,405,26730.8%
2ベトナム1,956,78217.7%
3インドネシア760,1926.9%
4コロンビア680,8586.2%
5エチオピア559,4005.1%
6ホンジュラス384,3613.5%

生産量が最も多いのはブラジルで、年間の生産量は約340万トンに達し、世界全体の30%以上を占めています。

第2位はベトナムで約200万トン、全体の18%程度の生産量となっています。

続いて、インドネシア、コロンビア、エチオピアがそれぞれ世界全体の約5~7%を占めています。

6位のホンジュラスを含めて上位6カ国で世界生産量の7割を超える生産量となります。

コーヒー豆の元となるコーヒーノキは、土地や気候など栽培に一定の条件が必要で、生産できる地域は限られています。

コーヒー豆の生産地は赤道付近の標高が高い地域に集中しています。こうした地域は年間を通して気候が温暖で降雨も適度にあり、これらの国々は「コーヒーベルト」と呼ばれています。

主要生産国の特徴

主要生産国のコーヒー豆にはそれぞれ特徴があります。

ここでは上位5カ国のコーヒー豆についてその特徴をご紹介します。

ブラジル

世界最大の生産量を誇るブラジルは、広大な国土とコーヒー栽培に適した理想的な気候条件により、高品質なコーヒー豆を安定して生産しています。

一般的にブラジルの名前で親しまれているコーヒーは、酸味と苦味のバランスが取れたクセのない味わいが特徴です。

またコストパフォーマンスにも優れていて、ブレンド豆としても広く使用されています。

ベトナム

ベトナムのコーヒーは日本ではあまり馴染みがありませんが、実はコーヒー生産量は世界2位を誇り、日本にも多く輸入されています。

ベトナムではコーヒー豆が主要輸出商品の1つとなっており、政府もコーヒー農園の拡大によってさらなる生産量の増加を目標に掲げ、生産拡大に力を入れています。

ベトナムで生産されているコーヒー豆はロブスタ種が主流です。

日本や欧米でよく飲まれているアラビカ種と異なり、ロブスタ種は苦みと渋みが強く、麦茶のような香ばしさが特徴です。

インドネシア

インドネシアのコーヒー豆は、スマトラ島の「マンデリン」、スラウェシ島の「トラジャ」が有名。

マンデリンは独特の香りが魅力のコーヒー豆で、程よい甘みと香ばしい香り、そして重量感のあるコクが人気の高級銘柄です。

コロンビア

コロンビアでは農家の約4分の1がコーヒー生産に関わっており、世界でも有数のコーヒー生産国です。

コロンビア産のコーヒー豆といえば、缶コーヒーの商品名にもなっているエメラルドマウンテンが最も有名です。

エメラルドマウンテンに認定されるのは、コロンビア産のコーヒー豆のうち、わずか3%未満の厳選された高級なコーヒー豆です。

豊かなコクと酸味の中に際立つ甘みを感じるバランスの取れた飲みやすさが特徴です。

エチオピア

エチオピアはコーヒーの木が発見された国で、コーヒー発祥の地として知られています。現在も自然に近い形で生産が行われているコーヒー産地です。

エチオピア産のコーヒー豆は、コーヒー豆の輸出に使われていたイエメンの港の名前から「モカ」とも呼ばれています。

中でも「シダモ」産のコーヒーはフルーティで芳醇な香りが特徴的で、別名「コーヒーの女王」とも呼ばれています。

2020年代のトレンド(アジアの生産量増加)

2020年代のコーヒー生産量のトレンドを見ると、アジア地域の生産量増加が目立ちます。

アジアでは特に東南アジア地域でのコーヒー生産が盛んで、世界2位のベトナム、世界3位のインドネシア、世界9位のインドと、アジアから3カ国がコーヒー生産量のトップ10にランクインしています。

インドネシアは2020年度に入り、それまで3位だったコロンビアを抜き3位になるなど、アジア各国の生産量は増加傾向です。

上位10カ国の生産量のうち、アジア地域での生産量の割合は2018年の30.6%から2023年には33.3%と2.7ポイント増加しています。

国別のコーヒー消費量

下に掲載したのは、コーヒーの国別消費量のグラフです。

もっとも大きな割合となっているのがEU(European Union=欧州連合)です。全体の27%を占めていますが、この中には日本より消費量の多いドイツや、日本より若干消費量の少ないフランス、イタリアを含んでいます。

そして、私たち日本は、2位のアメリカ、3位のブラジルに続く第4位。世界のコーヒー消費量のうち、約5%は日本で消費されていることになります。 EU、アメリカ、ブラジルのいずれの人口も、日本よりも大幅に多いことを考えると、日本人がコーヒー好きと言うことができるかもしれません。

世界の国別コーヒー消費量

一人当たりのコーヒー消費量

次に国別の一人当たりのコーヒー消費量を見てみましょう。

下に掲載した「世界の国別一人当たりコーヒー消費量(輸入国)」グラフを見る前に、ぜひ予想してみてください。

カフェがたくさんあるフランスは、コーヒーを愛飲する人が多そうなイメージがありますね。また、エスプレッソ発祥の地であるイタリアも愛好家が多そうです。

世界の国別一人当たりコーヒー消費量(輸入国別)

しかし、下に掲載したグラフをみると、1位はなんと北欧のノルウェー!  数字で見ると、ノルウェー人は一人あたり、日本人の約3倍のコーヒーを飲んでいる計算になります。続く2位はスイス。3位には、国別消費量で1位だったEU(欧州連合)がランクインしました。EUの数字は加盟する28カ国(調査当時)の合算で、人口も多いため、国全体の消費量では上位となりましたが、一人当たりの消費量では順位が落ちたと考えられます。

国別消費量では3位にランクインしていたブラジルは、輸出国の中では1位となっています。

世界の国別一人当たりコーヒー消費量(輸出国別)

日本のコーヒー豆輸入量はどれくらい?

日本で生産しているコーヒー豆はごく少量で、消費するコーヒー豆のほとんどは輸入に頼っています。

ここでは、日本が輸入しているコーヒー豆の産地国別の輸入量を見てみましょう。

現在、日本では47の国からコーヒー豆を輸入しています。

国別の内訳を見てみると、2019年度の財務省の調べでは、ブラジル、ベトナム、コロンビアの3カ国が、コーヒー輸入量全体の69.8%を占めています。ちょうど、コーヒー豆生産量トップ3と同じ3カ国が、日本へのコーヒー輸入量についても上位を占めていることになりますね。

ブラジルは、言わずと知れたコーヒーの一大生産地。南アメリカ大陸最大の経済大国であり、コーヒーの育成に求められる、厳しい生育環境の条件を全てクリアする、文字通りの「選ばれた地」。ブラジルのコーヒー農園で収穫される上質なコーヒーは、世界中の愛好家から愛されています。

また、3位のコロンビアで収穫されるコーヒーは、その甘くまろやかな香りで、日本でも人気の銘柄となっています。

また、トップ3には入らないものの注目したいのが、輸入量6位の「グアテマラ」。じつは、生産量で見るとグアテマラは世界10位。しかし、その甘い香りと豊潤な風味で多くの日本人から愛され、6番目に多い輸入量となっているようです。