AGF®ストーリー

地域との共生

神代の昔から守られてきた清らかな水のために
水への想いがご縁を結んだ「上賀茂神社の森」

執筆:2023年6月

読了目安:約5分

 「AGF®ブレンディ®の森」活動で生産拠点に近い水源域の森林整備に取り組むAGFグループ。一方、京都・賀茂別雷(かもわけいかづち)神社=通称・上賀茂神社では、古来より神様がご降臨された水源の山を大切に守り続けてきました。そして2015年、双方の森への思いは、21年ごとに斎行される式年遷宮をきっかけにご縁を結ぶことになったのです。

神々の恵みの水をいつまでも守っていきたい

 地球上に膨大な生命を生み出し、多様な生物の進化を促してきた水。海に囲まれ、多くの河川湖沼に恵まれた日本列島では、古来より米作農業など水の恵みによって人々は暮らしを営んできました。日本の宗教観に「水による清め」という考え方が育まれてきたのはごく自然なことだったのかもしれません。たとえば神社には「手水舎(てみずしゃ)」があります。参拝前に手と口を流水で清めるお手水の作法は、もともと川や海の水の浄化力により、心と体の穢(けが)れを取り去る「禊(みそぎ)」が簡略化されたものです。

 京都市北区にある「上賀茂神社」は、天武天皇6年(677年)に現在の社殿の基が創建されたと言われる京都でも最も古い神社の一つです。世界文化遺産 「古都京都の文化財」の構成遺産であり、国宝の本殿と権殿のほか、多くの建造物が国の重要文化財に指定されています。ご祭神である賀茂別雷神(かもわけいかづちのかみ)は本殿の北方背後にそびえる「神山(こうやま)」にご降臨されたと伝えられており、この神山からこんこんと湧き出て、神社の手水舎から流れ出ているのが「神山湧水(こうやまゆうすい)」。その水源域で育つヒノキは、21年ごとに行われる式年遷宮において、社殿の檜皮葺(ひわだぶき)に使われます。そのため、古来より神社はこの水源の森を非常に大切に慈しんできました。

「賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)」通称「上賀茂神社(かみがもじんじゃ)」

 「AGF®ブレンディ®の森」活動をスタートさせていたAGFグループは、水源の森を守る上賀茂神社への共感と畏敬の念から、2015年の式年遷宮にちなむ、さまざまな取り組みへの協賛を行ってきました。その核となるのが「上賀茂神社の森」の整備活動です。
 サステナビリティ推進部の嶋田さん・渡邊さんに「上賀茂神社の森」活動の経緯についてうかがいました。

嶋田さん:

 私たちの活動の舞台は「神山湧水」の水源の一つ神宮寺山です。2015年8月に京都市森林組合の指導の下で、約80名の社員が参加して「上賀茂神社の森」活動がスタートしました。その後も毎年8月下旬に実施され、整備エリアを順次拡大しながら、獣害ネットの設置なども取り入れていきました。急峻な斜面もあり、決して楽な作業ではありませんでしたが、多くの社員が意欲的に参加してくださいました。新型コロナウイルス感染拡大により2020年からは中断されていましたが、2022年8月27日、ようやく3年ぶりに第6回「上賀茂神社の森」森づくり活動を実施できました。今回は、初めて参加する20名の社員でしたが、森林組合の皆さまの指導を受け、下草刈りと枝打ち作業に汗を流しました。「神山湧水」と伝統ある神社を次代に残していく活動は私たちとしても非常に大きなやりがいと誇りを感じています。今後も長く続けていきたいですね。

森活動前後の様子

「神山湧水」でいれるただ一つのコーヒーをつくる

 上賀茂神社の式年遷宮にちなんだ、AGFグループの重要な取り組みとしては、もう一つ「神山湧水珈琲」の開発がありました。

渡邊さん:

 「神山湧水」の水質を最大限に活かすようにつくられたコーヒー「神山湧水珈琲」は、豆の選択からブレンド、焙煎の各工程で何度も試行錯誤を行った末に開発された、上賀茂神社でしか味わえない特別なコーヒーです。2015年より上賀茂神社境内で開催されたさまざまな催しなどで、多くの参拝者や観光客の方々に無料でふるまわれ、たいへんご好評を得ました。そしてこの「神山湧水珈琲」をベースに、あらためて日本の清らかな軟水を調査・研究した末に広く一般向けに開発された製品が、日本の水に良く合う繊細な味わいのコーヒーブランド「煎」でした。

 2019年4月には境内に上賀茂神社初の常設お休み処《神山湧水珈琲|煎》を開設。ヒノキ材を利用したベンチで、四季折々の神社の風景を楽しみながら、世界に一つしかないコーヒーを味わえるようになりました。

《神山湧水珈琲|煎》をご提供するカウンター

 AGFグループは、今後も水源の森整備を始め、日本の生活に欠かせない水の恵みを次代に伝える活動を展開してまいります。

  • 組織名や所属、肩書、業務内容、商品情報等を含むすべての記載内容は、各取材及び執筆時点のものです。

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