執筆:2023年7月
読了目安:約6分
冷蔵庫を開ければ、そこには牛乳がある。
夏の暑い日、コップ一杯の冷たい牛乳をゴクゴクゴク。
「味わいが好き」、「成長期の子供がいる」「良質なたんぱく質を摂取したい」など、牛乳に親しむ理由は人それぞれですが、このような光景が自然と目に浮かぶ人は少なくないでしょう。それほどに牛乳は身近な飲み物です。
2020年に発売された《「ブレンディ®」スティック 冷たい牛乳で飲む》シリーズは、日常的に牛乳を飲む方にとどまらず、カフェオレや抹茶オレなどの濃厚な味わいを好む方からも愛される春夏限定の商品です。
「夏に冷たいカフェオレを手軽に飲みたい」というお客さまのニーズを受け、まさに「ゴクゴク飲める」ことを重視して開発されたこのシリーズを、今回は「甘いものに癒やされたい」という時に、スイーツ感覚で楽しめるスティック飲料としてリニューアルしました。それが2023年春夏限定の「ブレンディ®」スティック クリーミーアイスシリーズです。
今回のストーリーでは、人気商品をさらに進化させようと、部門や世代を超えて開発に取り組んだチームをご紹介します。
「もっとおいしい」を実現するために、専門性の異なる3人が結集
このリニューアルの旗振り役となったのは、スティック飲料の企画開発を担当するコンシューマービジネス部 坂本さんです。かつて開発研究所で液体コーヒーの開発を担当した経験を持つ坂本さんは、今回のリニューアルが決定するや否や、ある人物に1本の電話をかけました。
開発研究所の藤本さんです。
藤本さんは38年のキャリアの中で長きにわたって製品開発に携わり、多くの商品を世に送り出してきました。
リニューアルでさらにおいしいものを作るにあたって、大きなカギとなるのは「配合」のバランスであると考えていた坂本さんは、「決められた時間・条件の中で理想の味を表現するためには、藤本さんの卓越したノウハウが必要だ」と思いました。
さらに製品の進化を支えた立役者がもう1人。
クリーミングパウダーの開発を担当している開発研究所の鈴木さんです。
鈴木さんは「冷たい牛乳でもサッと溶ける」という機能性に関して、従来のシリーズよりも幅広いシーンで「サッと溶ける」ことを追求しつつ、濃厚でクリーミーという製品本来の魅力との両立を目指しました。
先輩たちが培ってきた知識と経験が「より良い商品づくり」の道しるべ
《「ブレンディ®」スティック 冷たい牛乳で飲む》シリーズは、どのようなお客さまニーズを背景に《クリーミーアイス》シリーズとして、リニューアルすることになったのでしょうか。
坂本さん:
夏の暑い日とはいえ、のどが渇いた時にゴクゴク飲む麦茶とは別に、こってりと甘い飲み物が飲みたいというニーズが背景にあります。「アイスコーヒーを牛乳で割るだけ」では味わえないようなクリーミーさと甘さで「満足感たっぷり」を実現したいと考えていました。
このシリーズが登場した当初は、冷たい牛乳に溶けるという機能面を知っていただきたいとの想いで、コンセプトやメッセージを打ち出していましたが、今年からは「ブレンディ®」スティッククリーミーアイスシリーズという商品名に、味わいイメージを込めました。
つまり、この「味わい」こそが、今回の商品開発の肝であり、お二人の協力が欠かせなかったということです。
鈴木さん:
私が担当したのは、この「クリーミー」を実現するインスタントクリーミングパウダーの開発です。風味はもちろんのこと、溶解性も追及しました。通常のクリーミングパウダーはお湯以外には溶けにくいですが、それを冷たい液体(冷蔵庫から取り出したばかりの牛乳)に溶かすのは至難の業。このパウダーの基礎を作った先輩方が、努力を重ねてたどり着いた当社独自の技術だと思っています。
単純に粒の大きさを細かくすれば溶けやすいということではなく、例えば抹茶やココアなど、フレーバーごとに異なる他のパウダーとの「配合」も溶解性に関係してきます。
現在の部署に配属されて3年弱ですが、藤本さんは始めから同じグループで指導してくださった先輩です。
藤本さん:
溶けにくい原料は、クリーミングパウダーだけではありません。例えば、抹茶やココアも元々水に溶けない性質です。これらは溶けたように見えて、実は分散しているだけなのです。さまざまなパウダーの性質を理解しながら、飲みやすい仕立てにしていく…。ここが難しいところでもあり、過去の知見を総動員させる「開発者の腕の見せ所」でもあります。
研究所で配合が決まったあとは、工場と連携し、生産する工程で問題ないかなどの確認に進みます。ここで問題がある場合は、もう一度研究所に戻して配合を再調整することもあります。今回は幸いに修正は発生しませんでした。
鈴木さん:
私はまだ生産部門での経験がありませんので、先輩から学びながら、今後もっと知識と経験を磨いていきたいと思っています。
坂本さん:
本シリーズで新発売となった「アイスキャラメルオレ」に関しては、藤本さんがキャラメルの甘みや香ばしさをベストな味わいに仕上げてくださいました。言葉で伝えきれない風味のニュアンスをスピーディーに表現してくださる様子はまさに「職人芸」だと感じます。
目標は、お客さまが「今日は何を飲もうかな」と思った時に、まず味の素AGFの商品が思い浮かぶような特別な存在になるということ。「お客さまにおいしいものをご提供したい」という思いをカタチにしてくださる研究所の皆さんがいますので、この目標に向かって商品をどう育てていけるか、いろいろなことに挑戦していきたいと思っています。
最後に、味の素AGFで長年キャリアを積んだ藤本さんは、後輩たちへの想いを次のように語りました。
藤本さん:
現在63歳の私は一度定年退職し、再雇用として勤務しています。職業人として残された時間をどう使うか、そして自分自身が経験したことや技術をどれだけ後進の皆さんに伝承していけるか。これが最大のミッションだと思っています。研究所の皆さんのスキルアップだけでなく、組織全体の成長に貢献できれば、これほど技術者として誇らしいことはありません。
- 組織名や所属、肩書、業務内容、商品情報等を含むすべての記載内容は、各取材及び執筆時点のものです。
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