執筆:2023年12月
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商品を通じてお客さまにおいしさをお届けするのはもちろんのこと、お客さまの利便性や環境への負荷を考えることも味の素AGF株式会社(以下、AGF)が考える品質です。
これらの理想のバランスを追求し、資源循環型社会の実現を目指すには、まずお客さまに私たちの商品を選んでいただくことがスタートラインだと考えています。
今回ご紹介するストーリーは、「環境にやさしい(=エコ)」商品であることをお客さまにお伝えしたいという想いから始まった「ほっとするエコ」マークの誕生についてです。
目次
「ほっとするエコ」マーク誕生の原点となった組織横断的なチーム
AGFグループでは、かねてより容器包装の環境に配慮した設計を行い、“本来の機能を損なわない範囲”で包装資材の使用量削減、環境負荷低減素材の採用を実施してきました。製品の品質の取り組みに関する表記は、既に自社の基準でルール化されていましたが、環境への取り組みについて表記する自社の基準は定まっていませんでした。
そこで、2014年、当時の品質保証・環境部の部長は「どのようにして環境への取り組みをお客さまに伝えるか」を社内に提起し、専門的に取り組むプロジェクトチームを発足させました。このチームは商品開発や包材開発、研究所、広報など、さまざまな部署から集められたメンバーで構成され、プロジェクトが始まると同時に組織横断的な視点での検討がはじまりました。
当時、品質保証・環境部に所属し、チームの事務局メンバーであった小薮さんは次のように振り返ります。
小薮さん:
最初はメンバーそれぞれの想い、意識、課題への認識を一つにするためにどうすり合わせればいいか、チームビルディングしていくことに苦心しました。自社の製品に込めたリラックスやリフレッシュ、リセットの価値を大切にして、「お客さまへ伝えていきたい」想いをともに考えていくことで、次第に意見がまとまっていきました。
環境に優しい商品を象徴するシンボルマークの誕生
互いに方向性を確認したプロジェクトチームは、次に環境に優しい商品であることを象徴するシンボルマークの検討を始めました。
シンボルマークとなる新たなマークを作り出すことは容易ではありませんでしたが、先行して類似の取り組みを行っていた味の素株式会社を参考にすることにしました。
同社は2010年秋から、環境に配慮した商品を示す「味なエコ」マークを導入し、お客さまにも受け入れられているようでした。そのため、プロジェクトチームは同社の担当者にコンタクトを取り、「味なエコ」マークを作成する際に気を配ったマークの表記基準やデザインに込められた想いなどを聞かせてもらいました。
「味なエコ」マークの開発秘話を参考にできたことにより、AGFの環境配慮商品マーク開発の指針ができ、「ほっとするエコ」マークが完成したのです。
環境への意識と技術力を育みつづける
「ほっとするエコ」マークの表示製品は、2015年の春に51品種でスタートし、その後、2020年3月時点で236品種、2023年10月時点で289品種にまで増え、業務用の商品にも一部表示されるようになりました。
海洋プラスチックが問題視されるようになって以降は、包材開発部がパッケージの材質に紙や植物性プラスチックを採用したりして、プラスチックの量を減らすための改善を行うなど、それぞれの部署が環境への意識を高め、技術への挑戦などの工夫を行ってきました。
ある製品に「紙を使ってエコ」のマークを表示した際には、社内の他部署から問い合わせが寄せられるなど、社内の関心も高く、今では「ほっとするエコ」マークを入れる前提で製品のデザインを考える文化も育っています。
包材の4つの役割と開発にまつわるお話
AGFの製品開発は、工場での量産を前提としています。そのため、製品は環境により配慮したものであると同時に、安全で高品質であることも重要です。
包材開発部の高橋さんは、次のように語ります。
高橋さん:
包材開発においては、包材の役割を全うすることがとても重要です。第一に「中身を守る」ということ。そして「持ち運びやすさ」「情報を伝える」、「環境への配慮」という計4つの要素です。包材を薄く短くすることは中身を守る機能に影響を与えるため、機能を損なわずに新しい素材で開発するということは大きなチャレンジとなります。特に紙を使ったフィルムでは、その強度に不安があったため、フィルムメーカーとも協力しながら試作や評価を重ねました。フィルムメーカーのみならず、そのフィルムを使いこなす工場の皆さんなど、多くの方の協力によって成し遂げられました。
「もったいない大賞」を受賞したことが大きな励みに
2016年、この活動が認められた証として農林水産省が実施している「食品産業もったいない大賞」で農林水産省食料産業局長賞を受賞しました。この賞は、食品産業の持続可能な発展に向けて啓発を促すものです。
小薮さんと高橋さんは、この時のことを次のように振り返ります。
小薮さん:
この受賞によって、そもそもの目的である「環境に優しい商品であることをお客さまに知っていただきたい」という活動が認められたと実感するとともに、公式に評価いただいたことがうれしかったですね。
高橋さん:
受賞したことは、開発チームとしても励みになります。例えばプラスチックの使用量を減らすために、包材の長さを短くする場合に包材開発部が注目されがちですが、同時に内容量を少なくしながらも、味や香りをその分、濃くする技術もとても重要なのです。マークを作ったタスクチームを含め、みんなが一丸となって成し遂げた。それが良い結果をもたらしたと感じています。
未来の環境のためにAGFができること
うれしいことに「ほっとするエコ」マークに対するお客さまの声も寄せられています。
「資源再利用の重要性やゴミ分別の大切さに気づいた」
「マークが表示された商品は安心できる」など。
こうしたご意見をお聞かせいただき、環境への取り組みをきっかけとしてお客さまにお選びいただいたことが嬉しく、また発信していくことの大切さを再認識しています。
AGFは、これからもお客さまに「ふぅ」とやすらぎをお届けするとともに、環境にも貢献してまいります。
- 組織名や所属、肩書、業務内容、商品情報等を含むすべての記載内容は、各取材及び執筆時点のものです。
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