AGF®ストーリー

味の素AGF株式会社の活動や想いに迫るエピソードをお届けします。

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ココロの健康

唯一無二の和紅茶を求めて
~静岡の製茶メーカーとともに挑む製品化と製茶産業の課題~

2024年より開始した和紅茶(日本で栽培・加工された紅茶)の製品開発は、味の素AGF株式会社(以下、味の素AGF)にとって初めての試みです。開発パートナーは、日本トップクラスの茶葉生産地である静岡県に位置する牧之原市の老舗製茶メーカー「有限会社丸新柴本製茶」。「日本の風土に合ったオリジナル和紅茶製品をつくりたい」という味の素AGFの開発メンバーの想いに共感していただき、ご協力をいただけることになりました。その丸新柴本製茶に何度も足を運ぶ開発担当者3名に、和紅茶の試作製造が始まった経緯や今後の新商品開発などについてお話を聞きました。

目次

茶葉づくりから手がけるオリジナル「和紅茶」を作りたい

2022年、味の素AGF開発研究所商品開発部の健康・ティー開発グループでは、経営ビジョンのマイルストーンである2030年に向けて、製品開発に関する会議が続けられていました。2~3カ月にわたるディスカッションの中で出てきたのが、オリジナル和紅茶製品というアイデアです。当時、健康・ティー開発グループ長の中村さんは、会議の中で若手社員が口にした一言にハッとさせられました。「当社ではコーヒーの国内栽培はしていますが、そもそも茶葉づくりについてはあまり触れていないのでは?」。

中村さん

本当に言う通り。緑茶やウーロン茶、紅茶製品に使う茶葉は協力会社様から購入していますので、オリジナルの和紅茶製品をつくるためには、まず私たちが茶葉の育種・生産について学ばなければなりません。そのような状態から開発を始めるのは困難が伴うと分かっていましたが、だからこそ面白そうだとも思いました。その時私は、自分が若い頃に当時の上司から「若いんだからもっと夢を描けよ!」とハッパをかけられたことを思い出していたのです。今は上司の立場なので、ありがたいことにその夢を実行に移せています(笑)。

健康・ティー開発グループの発案で会社としてのプロジェクトとしてスタートすることになった初の和紅茶製品開発。最初の取り組みは開発パートナーを探すところからでした。茶葉の栽培に関して茶葉農園の知見とノウハウ、そして製造設備面での協力が必要不可欠だったからです。まずグループのメンバーは日本全国の和紅茶を取り寄せて風味評価を重ねました。それと並行して生産地を訪ね、さまざまな農園と協議する機会を持ちました。その結果、たどり着いたのが「丸新柴本製茶」でした。2023年度入社の井口さんも和紅茶プロジェクトのメンバーとして丸新柴本製茶に足を運び、お茶づくりのプロフェッショナルの教えを乞いました。

図 1 丸新柴本製茶でお茶づくりを学ぶメンバーたち

井口さん

入社2年目にして和紅茶の製品開発に携わることができ、ワクワクしながら仕事をしています。丸新柴本製茶の方々とディスカッションをしながら、試作製造を繰り返しているのですが、ちょっとした工程や茶葉の発酵時間の違いで味が大きく変わるので、紅茶づくりの繊細さを肌で感じました。製品化に向けて様々な課題が見えてきましたが、一つひとつ焦らずに解決して、前に進みたいと思っています。研究所を離れて、静岡県牧之原台地の広大な農園で農家の方々と仕事をすること自体が私にとって新鮮であり、またとても充実した時間です。

井口さんの先輩社員で10年以上研究開発に携わってきた橋本さんも、茶葉からの開発に携わるのは初めての経験だったと振り返ります。

橋本さん

ここ数年はスティックなどのお茶製品づくりに取り組んできましたが、茶葉作りから手掛けるのは初めてで、私もワクワクしながら丸新柴本製茶の皆様と仕事に取り組んできました。発酵等製造条件を変えて試作を繰り返し、ようやく私たちが求める風味に近い味を作り出すことができました。ただしまだスタートラインに立ったに過ぎません。今後、味の素AGFとしてのクオリティを踏まえた製品にするためには、乗り越えなければならない課題がいくつもあります。しかし着実に前進している手応えは感じています。

オリジナルの和紅茶は持続可能なお茶づくりへの挑戦

日本国内では人口減少とともに緑茶消費量が緩やかに減少しています。また、生産者側でもお茶農家の高齢化や跡継ぎ不足など大きな課題を抱えています。一方でインバウンドをはじめ、抹茶や日本茶といったお茶製品が世界中の消費者を魅了していることも事実です。グローバルな視野で見るとお茶市場は成長領域であると考えられるのです。

図 2 牧之原台地にある丸新柴本製茶の広大な農園

橋本さん

オリジナル和紅茶の開発は味の素AGFとしてだけではなく、持続可能な日本のお茶づくりという社会課題を見据えた挑戦でもあります。生産地への地域貢献、お茶農家の方々のやりがいにつながる製品開発でなければ意味がないと私たちは思っています。実際、生産地で生産者の方々と顔を突き合わせながら開発を進めていますから、その課題とは日々向き合っている実感があります。味や香りへのこだわりと粘り強さで、高い品質の和紅茶製品を市場に送り出し、国内外の消費者を驚かせたい。そして世界の人々から「和紅茶ってこんなに品質高く美味しい」という定評を確立することが大きな目標でもあります。

井口さん

製品化に至るまでの苦労を感じることもありますが、丸新柴本製茶の皆様と力を合わせて新しいことに取り組む充実感がそれに勝っています。生産地の方々との交流が深まる中で、私も生産者の力になりたいという想いがより強くなりました。お茶製品をコーヒー製品と並ぶ味の素AGFの第二の柱にすることを夢見ながら、楽しく、真摯に仕事に取り組んでいきたいと思います。

中村さん

1年前、最初に丸新柴本製茶を訪問した時、私たちはお茶づくりのプロフェッショナルの方々を前にしてかなり緊張していました。思い切ってオリジナル和紅茶製品にかける私たちの想いを伝えると、真摯に受け止めてくださいました。以後、お茶づくりのノウハウや設備などを惜しみなくご共有いただき、現在に至ります。本当に感謝しかありません。このご厚意とご協力に報いるためにもより一層オリジナル和紅茶製品の開発に力を入れて取り組んでいきたいと思っています。

左から井口さん、橋本さん、中村さん

海外の紅茶では出せない味わいを実現し、高品質のオリジナル和紅茶を手軽な製品としてお客様にお楽しみいただきたい。そして生産者との相互連携と共創で、生産地の価値向上や存続に貢献したい。そんな味の素AGFの挑戦は、次のステップへと歩みを進めようとしています。

  • 組織名や所属、肩書、業務内容、商品情報等を含むすべての記載内容は、各取材及び執筆時点のものです。

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