AGF®ストーリー

コーヒーへの想い

機械と人、人と人との連携
味の素AGF株式会社の「安心品質」を生む
AGF鈴鹿株式会社の生産現場

執筆:2024年7月

読了目安:約5分

味の素AGF株式会社(以下、味の素AGF)の生産を担う企業として2006年4月に発足した三重県鈴鹿市にあるAGF鈴鹿株式会社(以下、AGF鈴鹿)。ここには生豆の焙煎からコーヒーの抽出・乾燥までを一貫して担う世界有数のコーヒー工場があります。この工場では業務用コーヒーのほか、一般消費者向けのインスタント、スティック、ドリップパックなどのコーヒー商品のほか、お茶商品なども製造しています。

まさに味の素AGF商品の故郷とも言えるAGF鈴鹿において「安心品質」を担うキーマンお二人にお話をうかがいました。

スプレードライタワーと乾さん・岡さん

半世紀以上に及ぶ「技術」と「マインド」の継承

AGF鈴鹿の工場の歴史は、大阪万博が開催された1970(昭和45)年に稼働をスタートしたゼネラルフーヅ鈴鹿工場から始まります。

工場正門を目の前に入ると地上高45mの巨大な建物がそびえ立っています。この建物こそ工場設立時からインスタントコーヒー製造を担ってきたスプレードライ(噴霧乾燥)タワーを収容するAGF鈴鹿のシンボル的建造物。新しい鈴鹿市庁舎ができる前は鈴鹿市でもっとも高い建造物だったそうです。

現在、第二製造部で生産設備の保守管理や改善などの業務リーダーとして活躍する岡篤史さんは「このスプレードライタワー、私より年上なんですよ」と笑顔でAGF鈴鹿について語ってくれました。

岡さん

岡さん:

スプレードライタワーが半世紀以上にわたって活躍してきたのは、定期的なメンテナンスと時代に応じた改修を繰り返してきたためで、私もそのメンテナンスに関わってきた一人です。水にすぐ溶ける「ブレンディⓇ」商品のパウダーもこのタワーでの工程に“一手間”加えて製造しています。

フリーズドライ製品に関しては1976年に最初の製造ラインが工場内に設けられ、以後5つのラインが設置されました。現在稼働しているのはそのうちの3つのラインです。パウダーにせよ、フリーズドライにせよ、開発担当の皆さんが苦労して作り上げた品質と味をきっちりと商品化することが私たちのミッションといえるでしょう。

もう一人リーダーとして第一線で働く乾比呂志さんはコーヒー豆の焙煎、抽出など製造部門、生産管理や品質、エンジニアリング部門などを経て、現在は設備管理で生産現場の改善の業務に携わっています。

乾さん

乾さん:

コーヒー商品の製造は、何もかも機械任せにしていればいいわけではなく、季節によって温度や湿度が変わりますから、そこは人間による微妙な調整が必要となります。また、機械も経年劣化したり、多少のばらつきがあったりしますから、常に人間がしっかりチェックして、調整していないと安定した品質を保つことはできません。そこには少なからず職人技が必要なので、機械のメンテナンスと同様にこれまで積み上げられてきた製造ノウハウを受け継ぐオペレーターの育成も重要となります。特に昨今、工場立ち上げ時の社員が引退するタイミングになってきていることもあり、岡さんをはじめ、現場リーダーの方々が率先して若い社員への技術力向上と安心・安全な商品づくりに取り組む味の素AGFブランドのマインドを継承させていこうと頑張っていただいています。

現場を明るく、暖かく照らす「太陽」でありたい

乾さんがおっしゃった味の素AGFブランドのマインドとはどのようなものかを岡さんに問うとすぐに答えが返ってきました。

岡さん:

それはなによりも「安全」を優先し、「品質」「環境」を大切に考えること。この工場からはその3つを守れない商品は絶対に出さないという覚悟。そうしたマインドは、誰でもすぐに理解して実践できるものではありません。でも、だからこそ、繰り返しあきらめずに伝えていくことが大切だと思っています。そのためにもいつも私は世代を問わずコミュニケーションを密にして、笑顔を絶やさず明るい現場づくりを心がけており、そのことを私自身で「サンシャイン計画」と呼んでいます。

乾さんによると、岡さんの笑顔による「サンシャイン計画」は工場内で知らない人はいないそうです。折しもAGF鈴鹿では太陽光発電導入の「サンシャイン計画」も進んでおり、2つの「サンシャイン」によって、人にも、環境にも優しい工場になりつつあります。

岡さん:

現場での人と人との関係は、技術とマインド、いずれの継承にも重要です。AGF鈴鹿で多くの部署を経験してきたベテランの私や乾さんでも、すべての業務を担えるわけではありません。「安心品質」は、ベテラン、若手問わず現場の仲間の協調や連携なしには実現できないのです。また、現場で一緒に働く仲間の向こうには味の素AGF商品でプライベート時間を豊かにされているお客様がいることを忘れないようにしています。

一日一日、少しでも自分をアップデートさせていく

一方、乾さんも自分が取り組むプロジェクトなどに若い世代を巻き込んで、彼らに「成功体験」を味わってもらうように心がけているそうです。

乾さん:

若い人たちに「もっと勉強しろ」というためには、自分も勉強していなければ説得力はありません。だから毎日少しずつでもいいから自分をアップデートしなくてはならないと思っています。長く仕事を続けていると、次第に自分の「限界」が見えてくるものです。しかしそこで立ち止まるのではなく、知らない人と会ったり、新しい場所を訪ねたり、縁がなかった分野を勉強してみたりすることで、その限界の向こう側が見えてくるようになります。自分を少しでも成長させるためにいつもそんな風にチャレンジする人間でありたいですね。

そう語る乾さんは50代で「第三種電気主任技術者」の資格を取得するなど電気設備の勉強に取り組んでおり、次世代コンピュータである「量子コンピュータ」の文献なども読まれているそう。まさに有言実行です。

そして岡さんも、乾さんも、自分たちの工場で製造したコーヒー商品を飲む時間をとても大切にしています。岡さんは「飼い犬たちに囲まれて」、乾さんは「趣味の山登りで。朝早いテントの中で」飲むコーヒーがそれぞれ至福の一杯だそうです。

「お客様に常に自信をもって商品提供できる安心品質の実現」を企業モットーとするAGF鈴鹿では、コーヒーの商品がどのように作られるかを体験できる工場見学を実施しています。「溶けやすいパウダー」や「豊かな香り」など、味の素AGF商品の特長がどのように生まれるのかについて知ることができ、もしかしたら今回お話をうかがった岡さんや乾さんの太陽のような笑顔に出会えるかもしれません。ぜひ一度、ご参加ください。

  • 組織名や所属、肩書、業務内容、商品情報等を含むすべての記載内容は、各取材及び執筆時点のものです。

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