AGF®ストーリー
地域との共生
商品化で見えた住民の期待!
徳之島コーヒーの可能性を育む熱意と協力の輪
徳之島生産支援プロジェクトVol.4
執筆:2024年11月
読了目安:約10分
目次
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産業化への期待感の中で初めて住民の方々が参加した「コーヒーチェリー収穫祭」
これまでご紹介してきたとおり、徳之島コーヒー生産支援プロジェクトは台風被害やコロナ禍など数々の困難に直面するたびに、島内で生活する住民の方々からの多大なご支援に助けられてきました。その過程でプロジェクトに関わる人々は島でのコーヒー栽培への関心が次第に高まっていくのを肌で感じていたと言います。それはプロジェクトの目的であるコーヒー生産の産業化への期待感です。
2024年には、「国産コーヒー」の産地としての徳之島の未来の姿を多くの住民の方々と共有していることを実感する出来事が次々に起こっています。
たとえば2024年2月23日(金・祝)、初めて住民の方々が参加したコーヒー豆の「コーヒーチェリー収穫祭」を開催。プロジェクト関係者や地域住民ら約60名が参加し、生産者の指導のもとで住民の方々が楽しそうに収穫作業を行う光景が見られました。収穫体験後にはコーヒーノキに取り付ける看板づくり、コーヒー豆の焙煎や抽出を体験するワークショップも開催され、参加者は徳之島産と海外産のコーヒー豆をブレンドしたコーヒーを味わいました。
また2022年に味の素AGF株式会社(以下、味の素AGF)の社員を講師とした「コーヒー教室」を開催した鹿児島県立徳之島高等学校では、2024年度に総合学科生物生産系列で学ぶ生徒たちが、ハウス栽培でのコーヒー苗の植え付けを行いました。
このように、住民の協力や賛同とともにコーヒー栽培を「次世代」につなげていく試みがスタートしています。
念願の「徳之島コーヒー」商品化を記念したイベントは大盛況!
そうした気運の高まりの中、2024年秋、プロジェクトにとって大きなマイルストーンとなる出来事がありました。プロジェクトの中心となる徳之島コーヒー生産者会が、ついに2024年2月に収穫したコーヒー豆を使った「徳之島コーヒー」の商品化(ドリップタイプ・島内限定発売)を実現したのです。そして9月29日(日)に「徳之島コーヒー販売記念イベント」を伊仙町の直売所「百菜」前駐車場で開催。島内でさまざまなイベントが重なるシーズンでありましたが、当日は大勢の住民の方々が来場しました。
イベントでは待望の「徳之島コーヒー」のお披露目から始まり、プロジェクトを構成する伊仙町役場。徳之島コーヒー生産者会、丸紅株式会社、味の素AGFの代表者それぞれがプロジェクトにかける思いと今後の抱負を語りました。
その後、会場に設置されたブースで、参加者が「徳之島コーヒー」を実際に味わう試飲会を実施し、味の素AGFの社員がおいしいコーヒーの淹れ方をレクチャー。参加者からはコーヒー栽培に関する質問なども寄せられ、ここでも「徳之島コーヒー」への関心の高まりを感じることとなりました。
「徳之島コーヒー」を試飲した参加者の声
徳之島でコーヒーを作っていることはもちろん知っていましたから、コーヒー好きの私としては商品化と今日のイベントを楽しみにしていました。飲みやすく、味わいも深くて気に入りました。このコーヒーを通して島の魅力や人々の温かさを知ってもらえる機会になればいいなと思います。
こんなに人が大勢集まっているのにびっくりしました。実は普段ほとんどコーヒーを飲まないのですが、試飲してみたら意外と飲みやすくて、コーヒーのおいしさをしっかり感じることができました。みんなに愛される「徳之島コーヒー」になってほしいです。
実は私も自宅でコーヒーの苗を育てているのですが、まだ一度も実がなったことがありません。だから今日は楽しみだけではなく、コーヒーの生育を勉強しに来ました。徳之島コーヒー生産者会への入会も考えているところです。
スッキリした味わいで一気に飲んじゃいました。こんな魅力的なコーヒーが生産できるなら、コーヒー産業に憧れて島に帰ってくる若い人たちが増えてくるんじゃないかと期待しています。
また味の素AGFの社員が講師を務めてコーヒー豆の焙煎体験コーナーも開設。家族や友人同士で来場された方も多く、会場は幅広い世代の住民の方々がコーヒーの良い香りに包まれて楽しそうに焙煎作業に取り組んでいました。
焙煎体験をした参加者の感想
コーヒーが大好きで、毎週のように貴重なコーヒー豆を自分で淹れて楽しんでいます。しかし焙煎体験は今回が初めて。なかなか加減が難しく少し焦がしたかなと思ったのですが、講師の方からは「中深煎りくらいですね」と言われて一安心(笑)。
コーヒー豆の焙煎体験は初めてです。焙煎がこんなに手間暇かかるとは思いませんでした。本来、私の好みは浅煎りの豆ですが、焙煎でぱちぱちと豆が鳴る音が心地よくていつまでも聞いていたい(笑)。今日は(焙煎の度合い)に迷いますね。
島全体に広がる「徳之島をコーヒーアイランドに」という夢
会場には徳之島と奄美大島でのコーヒー栽培を手がける宮出珈琲農園のキッチンカー、徳之島コーヒー生産者会初代会長の故𠮷玉誠一さん(2023年11月没)の夫人である道子さんが徳之島南西部の犬田布岬(奄美十景に選定)で営む喫茶店「スマイル」もブースを出展。そのほかに地元の手作り特産品や子ども食堂などのブースも出展されており、島全体での盛り上がりが感じられ、大盛況の一日となりました。
徳之島コーヒー生産者会の泉延吉会長はこの日のイベント冒頭のあいさつで「商品化できて感無量。課題の生産量も増やせるよう努力したい。後継者を育て、徳之島コーヒーのネームバリューも高めたい」と今後の抱負を力強く語りました。また、味の素AGFの島本憲仁社長は「ほんとうに感無量です。私たちが一番感じるのはこの島の皆さんの心の温かさ。その生産者さんたちが育てたコーヒーは絶対においしい。お顔と愛情を思い浮かべ〝頭で飲むコーヒー〟を作りたい」と話しました。
島で最初にコーヒー栽培を始めた𠮷玉誠一さんと味の素AGFが2017年に出会った際に語り合った「徳之島をコーヒーアイランドに」という夢が今、多くの住民の方々からのエールを得ていっそう大きな広がりを見せ始めています。コーヒー豆収穫期に向けて、徳之島コーヒーの産業化と徳之島の人々とコーヒーとの関わりに、また新たな展開が期待できそうです。
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